概要

財務省のAIを活用した不正防止策が過去最高を記録

キーポイント

  • AIを活用した機械学習を含む米国財務省の不正検知プロセスの強化により、2024年度には40億ドル以上の不正・不適切な支払いを防止・回収し、2023年度の6億5270万ドルから大幅に増加した。
  • 財務省のOffice of Payment Integrityは、リスクベースのスクリーニングを拡大し、リスクの高い取引に優先順位をつけ、AIを活用した小切手詐欺の検知を実施した。

 

画期的な成果として、米財務省は、機械学習AIによって強化された高度な不正検知プロセスにより、2024会計年度中に40億ドル以上の不正・不当な支払いを防止・回収したと発表した。これは、前年度の6億5270万ドルから飛躍的に増加したことを意味し、金融詐欺に対抗する財務省のテクノロジー主導型アプローチの有効性を示している。

財政サービス局(Bureau of Fiscal Service)内で運営される支払インテグリティ室(Office of Payment Integrity:OPI)は、不正防止能力を強化し、より広範な顧客層へのサービスを拡大することで、こうした取り組みの先頭に立った。リスクに応じたスクリーニングの実施だけでも5億ドルの不正防止効果があり、リスクの高い取引の特定と優先順位付けは、25億ドルという驚異的な損失防止に貢献した。

 

AIが金融安全保障の主役に

財務省の不正に対する武器で最も注目すべき進歩のひとつは、財務省の小切手不正の特定を迅速化するための機械学習AIの導入である。この最先端技術は10億ドルの回収に貢献し、公的資金の保護における人工知能の力を実証した。

ウォーリー・アデイモ財務副長官は、納税者の税金を責任を持って管理するという同省のコミットメントを強調し、「我々はこの1年間で、40億ドル以上の不正・不適切な支払いを防ぐという大きな進歩を遂げた。我々は今後も連邦政府内の他の組織と協力し、不適切な支払いや不正行為を阻止するために必要なツール、データ、専門知識を提供していく」と述べた。

 

パートナーシップの拡大と今後の展望

財務省は今後を展望しても、現状に安住しているわけではない。同省は、連邦政府が出資する州が運営するイニシアチブを含め、新しいプログラムやリスクの高いプログラムとのパートナーシップの確立と強化に積極的に取り組んでいる。特筆すべき例として、財務省と労働省との間の2024年5月のデータ共有パートナーシップが挙げられる。このパートナーシップは、失業保険インテグリティ・データ・ハブを通じて、州の失業保険機関に重要なデータソースとサービスへのアクセスを提供することを目的としている。

オンライン決済詐欺は2028年までに累計3620億ドルを超えると予測されており、財務省の積極的なアプローチと新技術の活用は、デジタル時代の金融詐欺に対する重要な防波堤として位置づけられている。年間6兆9,000億ドル超に相当する約14億件の支払いを行う財務省の不正防止対策は、連邦政府の金融業務の健全性を守る上で、ますます重要な役割を果たすことになるだろう。

トップ・ストーリー

その他の記事