概要

モロッコ、野心的なデジタル・モロッコ2030戦略を発表

キーポイント

  • モロッコは、世界的なデジタルハブとなり、電子開発指数のランキングを113位から50位に改善することを目的とした11億ドルの国家デジタル変革戦略を発表した。
  • 同戦略は、公共サービスのデジタル化、デジタル分野での24万人の雇用創出、2026年までに年間10万人の若者のデジタル技能訓練に重点を置いている。

 

モロッコ、デジタルトランスフォーメーションに照準

モロッコは、野心的な「デジタル・モロッコ2030」戦略を正式に発表した。これは、北アフリカの国を世界的なデジタル・ハブに変えることを目的とした包括的な計画である。アジズ・アカンヌシュ首相はビデオ会議を通じてロードマップを発表し、デジタル・イノベーションを通じて社会開発を加速させるという政府のコミットメントを強調した。

この戦略は、11億ドルを超える多額の予算を背景に、モロッコのデジタル環境に革命を起こすための一連の野心的な目標を掲げている。主な目標には、デジタル・インフラの強化、若者の技術スキルの向上、デジタル分野における新たな新興企業の支援などがある。

 

雇用と技能開発の促進

デジタル・モロッコ2030戦略の主な焦点のひとつは、デジタル分野における雇用創出と技能開発である。アクハヌシュ首相は、「2024年から2026年にかけて11億ディルハムを動員するこの戦略を通じて、行政府はデジタル分野で年間10万人の若者を訓練し(2022年には1万4000人)、国のデジタル部門で24万人を雇用することを目標としている」と述べた。

同計画はまた、2027年までに公立大学のデジタル分野の卒業生数を3倍に増やすことも目標としている。このように人財育成に重点を置くことは、戦略の野心的な雇用目標を達成し、モロッコを世界のデジタル経済において競争力のあるプレーヤーとして位置づけるために極めて重要である。

 

公共サービスと行政の近代化

デジタル移行と行政改革を担当するギタ・メズール大臣は、デジタル・モロッコ2030戦略の重要な要素として、統一行政サービス・ポータルの創設を発表した。このポータルは、すべてのデジタル行政サービスの一元的なハブとして機能し、市民や企業のアクセスを合理化する。

政府は、保健、社会保護、投資、教育、雇用などの主要分野において、デジタル・プロセスの近代化を優先する計画である。このイニシアチブを支援するため、モロッコ・デジタル開発庁(ADD)が強化され、行政全般にわたるデジタル化の実施を支援する。

 

イノベーションと起業家精神の育成

同戦略はまた、新興企業の支援とモロッコのデジタル・エコシステム内でのイノベーションの育成に重点を置いている。CGEM雇用主協会のチャキブ・アルジ会長は、グローバル展開を目指す新興企業への支援を呼びかけ、限界のない考え方を培うことの重要性を強調した。

これを達成するため、政府はファブラボやプロトタイピングセンターを設立し、オープンイノベーションを奨励する計画だ。また、この戦略では、世界中の大企業がモロッコに進出し、自動車や航空などの主要部門を強化するとともに、アウトソーシングの付加価値を高めることを目指している。

モロッコが野心的なデジタルトランスフォーメーションの旅に乗り出すにあたり、「デジタル・モロッコ2030」戦略は、同国をアフリカのみならず世界有数のデジタルハブとして位置づけるための重要な一歩となる。雇用創出、技能開発、公共サービスの近代化に重点を置くモロッコは、今後数年間、経済成長を促進し、国民生活を向上させる盛んなデジタル・エコシステムの構築を目指している。

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